お絵かき用のシャープペンシルと消しゴムの選び方 文房具にこだわる
今回は一旦パソコンから離れてお絵かきのお話。お絵かきのお話とは言っても直接的なスキルの話ではなく、それを描くために用いる道具のお話。残念ながら私はまだ人に教えるほどのお絵かきスキルは持ち合わせておりません。
尚、私の記事はあくまで線画をアナログで描き、最終的にそれをスキャンしデジタルで完成させることを念頭に置いて話が進んでいく系。つけペンやらコピックやらは私の記事で出てくることはないのでご注意あれ。
アナログだと格好良いように見えるでしょう(適当)
シャープペンシルを選ぶ
お絵かきに適した芯径とは <hr size="1" />
日本の市場に出回っているシャープペンシルの多くの芯径が 0.5mm であることはおそらくご存知でしょう。普通の筆記に際してはこれで何の問題もないと思うけれど、絵を描くにしては少しばかり太すぎ。ぬぅあ~これじゃ絵が描けないよもおぉぉぉぉん!
実は 0.5mm 以外にも数多くの芯径が存在しております。 0.2mm 0.3mm 0.4mm 0.5mm 0.7mm 0.9mm の大体このくらい。但し 0.2mm のシャープペンに関しては現在相当レア度が高く、入手することは中々に困難な様子。0.3mm や 0.7mm は見たことのある人も多いでしょうが、0.4mm 0.9mm には馴染みがないのではないかと。
馴染みがないくせに、線画を描く際には圧倒的パフォーマンスで 0.4mm が大活躍。 0.3mm では細すぎるため、線を描くと紙を傷つけてしまいやすく、 0.5mm では上でも書いたように太すぎ。 0.4mm はその間へうまい具合に食い込み、作業を快適にしてくれます。
ではその他の芯径が不必要であるのかといえばそうではなく、例えば 0.3mm で細かい描き込みをしたりだとか、 0.9mm を使って軽くアタリを取るなど、工夫により色々と作業の効率化を図れます。上の写真は実際に私が描いた絵で、 0.3mm と 0.4mm の2種類を使い分けております。
私的オススメ芯径を書いておくと、先ず用意するのは 0.4mm 。その後、お金などの余裕があれば 0.3mm 、 0.9mm と増やしていくのが良いかと。線画のトレース用に本当は 0.2mm も欲しいところだけれど、売っていないからどうしようもない。
重心を意識 <hr size="1" />
シャープペンシルには当然質量があり、当然体積があり、当然重心があり。重心がペンの上部にあると、書く際に余計な力が必要となり、線がぶれやすくなってしまう。そうした事態を避けるために、低重心のペンを選びましょう……と言えども、店頭での試し書き程度では重心がどうかなんて殆どわからないでしょうな。
試し書きの段階でいいと思えど、実際に家に帰り使ってみると微妙、と感じることは多々あるはず。これは書く時の姿勢が違いすぎるためで、冷静に考えれば当たり前のこと。そのため試し書きする際には、明らかに「(アカン)」というペンだけは避けて、適当に買ってしまいましょう。
ペンを振って芯が出るタイプのものがありますが、あのタイプの多くは中のおもりが動くことによって作用しており、重心が筆記中にぶれやすい。申し訳ないがお絵かき用にはNG。
スリーブを見る <hr size="1" />
スリーブとは要するにペンの先っちょの芯を支えているところのとこ。画像を見ての通り、製図用と呼ばれるシャープペンはここが長いことが多し。スリーブが長いと、実際に描いているところが視認しやすく、より思ったとおりに描きやすくなります。
ぶっちゃけて言えば 0.4mm や 0.9mm で売られているシャープペンはその殆どが製図用。つまるところ、絵を描くために製図用のシャープペンを買いましょう、ということになったりならなかったり。
なんだかんだ握りやすさ <hr size="1" />
はい、なんだかんだです。なんだかんだ言っても握りやすさが大切で、うまい事自分にフィットしなければ、どんなに良いペンであろうとも絵はおろか、文字すら満足に書けないわけで。文房具屋へ実際に足を運び、自分に合うペンを探してみましょう。モチベーション維持の目的で当然見た目も大切。
たとえ握り心地が良くとも、どうしてもお絵かき用に選んではいけないのは「グリップが柔らかいペン」「振って芯が出るタイプのペン」「クルトガ」「多機能ペン」。振るタイプは既に話が出ているためいいとして、ほか3つは何故ダメなのか。
話は単純で、グリップが柔らかいとどうしても指でペンを固定することが難しく、残りの2つは筆記と同時に多少のガタツキが発生し、それらが理由で線がぶれやすくなってしまうため。文字を書くことと絵を描くことでは、同じシャープペンでも使い勝手が全く違うということに注意。
どうでもいいんですが私の普段使い(お絵かき用ではない)のペンは LAMY の Tri pen st というもの。思い切り多機能ペン。白色でとても格好いい。
おすすめのシャープペンシル
今までの内容も踏まえ、値段と実用性を意識した私のオススメの製図用シャープペンを一応幾つか紹介しておきます。尚、画像の中では「グラフレット500」となっておりますがこれは誤りで、正確には「グラフレット」です。
軽く説明を入れておきましょう。
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ぺんてる - グラフレット(500円)
非常に軽量で、かつ細いボディが特徴。ローレット加工(グリップ部分のギザギザ)が優し目で、長時間筆記も余り苦にならず。 -
ぺんてる - グラフ1000(1,000円)
グラフレットと比べやや重たく、やや太め。独特のグリップと超絶にバランスのとれた重心で、私が最も描きやすいと感じるペン。普段使いもそつなくこなす。但し 0.3mm とはあまり相性がよくない気がする。 -
PILOT - S3(300円)
デザインと価格からか、勉強用として使っている人も多くいる様ですな。グリップ部分はやや太めで露骨な低重心、細い芯径と相性がいい印象。カラーバリエーションもそれなりにあるため女の子でも抵抗なく使えそう。 -
ZEBRA - ドラフィックス(300円)
昔ながらな感じなデザインのペン。やや太めでプラスチックのギザギザグリップなので長時間筆記にはあまり向かない。比較的軽く、太めの芯径向きでしょうか。
これらの他にも海外の有名ブランド製図用シャープペンシル等、評価の高いペンは沢山あるため、お店へ一度足を運んでみましょう。そのときは試し書きをすることを忘れずに。
芯を選ぶ
意外と見落としがちな要素で、「芯なんてどうせどれも変わんねーよと」考えているなのなら悔い改めましょう。同じ硬さで同じ芯径の芯でも、メーカーや製品ごとに大きくその書き味は変わってきます。100均の芯なんて論外です。
シャープペン本体以上に個人の好みが大きく出る部分なので、普段用お絵かき用を問わず、しっかりと自分にあった芯を探すことが大切。幸いにも芯は安いため、書き比べにはお金がかからない。
今芯を買うとなると、選択肢は必然的に以下の4つに絞られます(1つ用意できなかったので画像は3つ)。
- uni(三菱鉛筆) - NanoDia(ナノダイヤ)
- PILOT - ネオックス・グラファイト
- ぺんてる - Ain STEIN(アイン シュタイン)
- トンボ鉛筆 - MONO-WX(モノ-WX)
0.3mm と 0.5mm 限定で圧倒的性能をもつ Hi-Uni が使えますが300円と少々お高め。今回はお絵かき用ということで 0.4mm に焦点を当てて参りますが、トンボ鉛筆の芯を用意できなかったため他3つを今回は比較。
ナノダイヤはなめらかな書き味の中に謎の引っ掛かりがあり、その引っ掛かりを気に入るか否かで好みが分かれる所。3つの中では平均的な性能で、とりあえず迷ったらこれでもいいかもしれない。しれないけれどやはりきちんと自分で書き比べましょう。
グラファイトはとにかく柔らかく、色が濃く、書いていくうちに芯がゴリゴリ減っていきます。その柔らかさを活かした線の強弱が魅力でしょうか。これらの中では定着力が最低なのが欠点。
シュタインは比較的固めで書き味も他と比べると引っ掛かりが強い印象。色は薄めだけれど定着力が最強。しっかりとした書き味が好きならばこれ安定か。
個人的な意見を書いておけばこの中ではシュタイン一択だけれど、上でも書いたように個人により見解が大きく変わってくるところ。ここだけは私の意見は鵜呑みにせず、実際に自分で書き比べてみないことには始まらないので注意。更に芯径、硬さごとにも描きやすさが変わってくるものなので、本気でこだわろうとした場合は前言撤回となり、芯に対する最終的な投資はそれなりにかかるかもしれない。
実際に書き比べてみた画像を用意しておきましたので参考としてどうぞ(クリックで拡大)。全て HB となっております。
消しゴムを選ぶ
よく聞く台詞。
「消しゴムって言ったら『MONO』でしょ『MONO』! 一番消えるよねあれ!」
ネタなのか本気なのかわからないので、こういうことを平気で言うのはやめましょう。言ってしまえば時代遅れです、最早あんなもの消えるとは言えません。本当に消える消しゴムを使うと作業効率が遥かに向上し、ストレスも大幅に減らすことができるため、消しゴム選びも非常に重要。
文房具屋に行けば、それこそ MONO から何やら気味の悪いパッケージの消しゴムまで色々とありますが、よく消える消しゴムとなれば PILOT の「FOAM ERASER」か PLUS の「AIR-IN」の2択となります。
消字性能はどちらも申し分なく、消し心地の好み次第でどちらを選ぶかが決まってくるかと。
FOAM の方は圧倒的に軽いタッチと、消しカスがよくまとまるのがポイント。更に消した部分がほとんど汚れないため、精神衛生上もチョベリグ。但しゴムの劣化が早いため、余り買い溜めしすぎたりモタモタ使っていると、100%の能力を発揮できないことも。まあ使えばゴリゴリ減っていくので、あまり気になることは無いかもしれないけれど。
AIR-IN は減りが遅く、劣化も少ないため経済的面で圧倒的に優秀。 FOAM と比べるとやや柔らかいので細かい部分での消字能力も中々のもの。いくつか派生商品が存在し、芯の硬さにより使い分けをすることも可能。
これまた個人的な好みを書いておくと私は FOAM 派。あの軽さとゴムの硬さが癖になります。ちなみに サクラクレパス の「FOAM ERASER W」と「小学生学習字消し」はPILOTのそれと全く同じものとなります。
ちなみにFOAMをそのまま使っていると、手の汗や脂により後ろの方が知らぬ間に劣化してしまい、最後のほうが使い物にならなくなってしまいます。そこで一番上の画像を見てみましょう。はい、見ましたね。消しゴムに何やら変なケースがついていますな。
あれは PILOT の「ケシキーパー」という製品で、わざわざ紙のケースを切ったりすることをせずとも、常に好きな長さで消しゴムを使用できるという優れもの。おまけの能力として、ケースが消しゴムのお尻に直に触れることを防いでくれるため、 FOAM を最後まで劣化させず、ストレス無く使い切ることが可能となります。
その他のオススメとして、世の中には電動消しゴムというものがあり、これを使えば手で消すのが馬鹿らしくなってしまうほどに綺麗に消え、紙へのダメージも極限まで抑えることが可能。電池が切れているので私は最近使っていません。
形から入ることも大切(まとめ)
そんなことよりも描くことが重要という意見はごもっとも。けれども作業効率を上げる意味や、いいものを使っているんだという、気分の高揚によるモチベーション向上の効果も含め、まずは形から入るというのもありでしょう。無しと言われると私が泣く。
今回の記事で伝えたいことは、何よりもやはり芯の違い。パッケージで選んでいるのかたまたま手にとったのかは知らないけれど、適当に選んでいる人があまりにも多い。誰でも一発で違いがわかる(特にグラファイト)はずなので惜しみなく散財しましょう。この記事で上げた3つを買ってもたったの600円。
ちなみにトンボ鉛筆の芯を用意できなかったのは、本当にたまたま店に置いていなかっただけなのだけなので他意はありません。今回は。(8月23日修正)
-taNatos(執筆者の詳細 - http://coderwall.com/tahein )
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