画像の色のハナシ 覚えておきたいデジ絵の知識
目次
- 色について
- 色の知覚について
- 三つの色の見え方
- 加法混色と減法混色
- まとめ
1.色について
我々が目で見る色は、色相・彩度・明度の三つの属性によって成り立っています。この項目は、小、中学校あたりの美術でも習うことなので、もうバッチリだよ!という方はさらっと読み飛ばしてください。
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色相(Hue)
色の様相の相違を示す度合です。色相は円環として示される場合が多く、Photoshopの場合、赤を基準に0~360°の値で示されます。これは光の波長と深く関係しています。詳細は後述で。
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彩度(Saturation)
色の鮮やかさを示す度合です。色の純度を示す度合であるとも言えます。Photoshopの場合、0~100%の値で示されます。”モノクロ”はいわゆる彩度が0%の状態で、色相の値が無視され、明暗のみで対象が表現されている状態です。
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明度(Brightness・Value)
色の明るさを示す度合です。輝度とも表記されます。Photoshopの場合、、0~100%の値で示されます。値が0%だと色相・彩度の値に関係なく真っ黒になりますが、値を100%にしても彩度が0%でない場合には真っ白にはなりません。
この、色相・彩度・明度の三つの属性によって作られる色空間を、HSBモデル(またはHSVモデル)と言います。多くのお絵かきソフトは、HSBモデルを用いて色を作成することができます。この方法は、直感的に自分が作りたい色を作成することがでるので、初心者にもおすすめです。
参考:PhotoshopでHSBモデルを用いて色を作成する
Photoshopの色を作成・編集する画面(カラーピッカー)は、視覚的にどんな色を作っているか分かるようになっています。H・S・Bのいずれかのラジオボタンを選択するとHSBモデルを用いた色の作成が可能です。現在はBのラジオボタンが選択され、右のバーの上下で明暗を、左の正方形のマップの上下で彩度、左右で色相を調節できる状態です。インターフェースは異なりますが、他のお絵かきソフトもこれと似たような色作成機能があるはずです。
2.色の知覚について
次に、色の知覚について軽く説明しますが、まずは人間がどのようにものを見ているかについて軽く説明しておきます。
人間は目で周りのものを見ていますが、人間の目が感知する情報は光です。人間は目から外界からの光を感知することによって、外界になにがあるのかという情報を得て、脳がそれらの情報を処理し、外界の様子を知ることができます。
参考:目でものを見るしくみ
瞳孔から入ってきた光は凸レンズの役割を果たす水晶体によって、網膜上の黄斑と呼ばれる部分に像を結びます。この像が視神経を通じて脳に情報として伝わります。すなわち、私たちの目は光でものを見ているといえます。光のない暗い状態だと周りがよく見えないのは、目に入る光の量が少ないからです。
では、外界からの光の情報を受け取ることで外界の様子を知ることができるのは分かりましたが、われわれはこのカラフルな世界の色相・彩度・明度をいったいどのように識別しているのでしょうか。それぞれの要素について軽く説明します。
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色相
色相は、眼の中の視細胞(錐体細胞)に届く光の波長の長さの違いで識別されます。私たちが認識できる光の波長はおよそ400nm~800nmの間です。それぞれの波長の長さの違いから、脳は異なる色として知覚しています。
参考:光の波長の長さと脳が知覚する色のおおまかな関係
図で表されている長さの波長の光を可視光線といいます。可視光線より短い、長い波長の光は人の目で認識することができません。可視光線より波長の短いものが紫外線、長いものが赤外線です。日常でよく使われている紫外線、赤外線の言葉の意味もお分かりいただけたかと思います。
また、図をよく見ると、可視光線には赤と紫の中間にあたる部分は存在しないことがお分かり頂けると思います。実は、この部分に該当するピンク(マゼンタ)の色は、人間の脳が勝手に作り上げた色彩です。人間の脳は不思議ですね。
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彩度
彩度は、眼の中の視細胞(錐体細胞)に届く光の波長の純度によって識別されます。説明が適切ではないかもしれませんが、様々な波長の光が混在するほど彩度は低くなります。
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明度
明度は、眼の中の視細胞(桿体細胞)に届く光の量によって識別されます。目に入ってくる光の量が少ないと、人間は瞳孔を開いてより多くの光を目の中に取り込もうとします。
ここで話した内容は主に高校物理などで学習していく内容です。まだ、授業で習っていない方は、光の波長などと言われてもよく分からないかもしれません。ですが、人間は光によって外界の情報・色を認識しているということは、先の説明でもお分かりいただけたのではないかと思います。
3.三つの色の見え方
人間は光によって外界の情報・色を認識していますが、私たちの目に光が届く過程の違いから、色は主に三つに分類されます。
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光源色
光そのものが持つ色味が、ダイレクトに私たちの目に届いた場合に見える色のこと。白熱電球やネオンサインの色がこれに該当します。
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物体色
光にあたった物体が、特定の波長の光を反射し、私たちの目に届いた場合に見える色のこと。われわれが知覚している色のほとんどがこの物体色です。
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透過色
光が半透明の物体を通過することで、特定の波長の光のみが通過し、私たちの目に届いた場合に見える色のこと。色つきガラス、カラーセロハンなどを通して見える色がこれに該当します。
4.加法混色と減法混色
赤と黄の絵の具を混ぜると橙になるように、色は混ぜること(混色)で他の色を作り出すことが可能です。色を混ぜる方法は先ほど説明した色の見え方によって二つの方法に分類されます。
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加法混色
光源色に適応される色の混ぜ方の方法です。色を混ぜれば混ぜるほど白に近づきます。小、中学校あたりの理科で習う、光の三原色を用いた色の混ぜ方はこちらです。
加法混色は、基礎となる三つの原色、赤(Red)、緑(Green)、青(Blue)の頭文字を取って、RGBカラーと呼ばれます。
光源であるパソコンの液晶モニタは、加法混色によるRGBカラーモデルで画面を表示しています。
参考:えんじ色をRGBで表現した例
ちなみに、太陽光が白に近い色をしているのは、太陽光には不可視光線も含む様々な波長の光が含まれているからです。それを考えると、白い物体はよく光を反射する物体で、黒い物体はよく光を吸収する物体ということが分かります。
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減法混色
物体色と透過色に適応される色の混ぜ方の方法です。色を混ぜれば混ぜるほど黒に近づきます。小、中学校あたりの美術で習う、色の三原色を用いた色の混ぜ方はこちらです。
減法混色は、基礎となる三つの原色、シアン(Cyan)、マゼンタ(Magenta)、イエロー(Yellow)の頭文字を取って、CMYカラーと呼ばれます。
小、中学校あたりの美術では、赤、青、黄色の三色と習ったと思いますが、厳密にはちょっと違います。これを機会に、シアン(Cyan)、マゼンタ(Magenta)、イエロー(Yellow)の三色と覚えましょう。
また、印刷では、CMYのほかにK(Keycolor)を使います。Kはブラックに相当する色で、CMYの混色で再現しづらいブラックの色を、ブラックのインクで再現しようというものです。印刷関係はCMYにKを含めたCMYKカラーが主流です。
参考:えんじ色をCMYKで表現した例
5.まとめ
今回の講座では色について解説していきましたが、注意していただきたいのはデジタルとアナログでの色のやり取りです。
パソコンで描いた絵を紙に出力する場合、パソコンの液晶モニタは加法混色(RGBカラー)で色を表現しているのに対し、印刷物は減法混色(CMYKカラー)で色を表現しているため、そのまま印刷すると色味に誤差が生じてしまいます。
そこで、パソコンで絵をプリンタでの印刷を想定した描く場合、カラーモードをCMYKに変換することを推奨します。
PhotoshopやGIMPといったお絵かきソフトには、印刷物に対応した色味を再現する、CMYKモードというカラーモードが搭載されています。このモードで作業すれば、出力の際の色味の誤差を軽減することができます。
また、色の再現性の高い液晶モニタで作業するのも色味の誤差を軽減する有効な手段です。液晶モニタの色の再現性が高いと、当然、印刷したときの色味も近くなってきます。色味の誤差を無くすためにも、コンピュータでイラストやデザインをする人は、液晶モニタを購入する場合はよく検討しましょう。
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Author: observatory17
Thanks: Photo of Paragraph3 by Free.Stocker
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